山 本 忠 文
1 区 隊
職種:通信科
平成19年7月以降、JMAS(特定非営利活動法人日本地雷処理を支援する会)のカンボジア現地代表としてプノンペンに赴任した山本君からの報告です。
第9回 新年ご挨拶 (平成21年1月6日) |
不惑会会員諸兄 新年明けましておめでとう御座います。と言いたい所ですが、貴兄ご指摘の通り、気に入らないことの多い世の中になって来ました。 歳をとると愚痴が多くなると言われますが、強ち歳のせいばかりではないと思っております。カンボジアにいてもWEB上或いはNHKの国際放送等で日本の情報は国内並みとは参りませんが必要にして十分なものが入手できますので、概ね情報は共有できているものと思っております。よって貴兄の憤慨も小生の憤慨として“思い”を共有致しておりますが、これも余り度が過ぎると身体に悪いようですので程々に致しましょう。 早いもので、カンボジアで2度目の新年を迎えました。既に報告しましたように、カンボジアでは1年に3回の正月があります。最初は1月1日のインターナショナル ニューイヤーですが、これは1日のみが休みで街中を歩いても全く新年らしさが見受けられません。気候も朝晩はかなり涼しいものの寒さとは無縁ですので年末年始の季節感がゼロです。後は2月に所謂旧正月がありますが、これは中華系及びベトナム系の人々のものです。旧正月は爆竹を鳴らしたり様々な飾り物をしたりで結構正月らしさがあり、中華系等以外のカンボジア人もちゃっかりこれに便乗して楽しんでおります。 そして本番は4月中旬の「クメール正月」です。日本でも「盆」と「正月」は1年の2大行事ですが、カンボジアも全く同様で約1週間から10日間の休暇となり殆どの人が故郷に帰り家族、親類とパゴダに御参りをした後、ご馳走と酒を愛でながら大いに盛り上がります。この時期はカンボジアで最も暑く40℃を超えることも少なくなく、また、農閑期でもありますので休養を兼ねてこの時期が選ばれたと聞いております。 不発弾、地雷処理事業の方も計画通り順調に進捗いたしております。現在の活動状況は次の通りです。 不発弾処理に関してはベトナムとの国境に近いカンボジア南東部の4つの州で日本人専門家4名が夫々現地人スタッフ2名(通訳、Dr)を使って、カンボジア地雷処理センター(CMAC)の隊員11名を指導しながら事業を推進しております。元の職種は武器科2名、施設科1名と普通科1名で武器科以外の人も幹部弾薬過程を出た専門家たちです。場所的には皆さんご想像の通り、ベトナム戦争当時のベトコンに対する北の支援ルート所謂「ホーチミンルート」を米軍が攻撃した際の不発弾多発地域です。 地雷処理事業はこれとは大きく離隔したタイ国境沿いのカンボジア北西部にあるバッタンバン州タサエンコミューンというところで活動しております。この地域はポルポト軍と政府軍或いはベトナム軍が激戦を交えたところで両者が対人地雷、対戦車地雷を多用して敵の侵攻を阻止しようとした所で未だ数多くの地雷が残っており地域開発、住民生活の障害となっており、犠牲者も逐次減少しているとはいえ依然として後を絶たない状況です。 ここでは、元施設科の日本人専門家2名が主任、副主任として不発弾と同様に現地人スタッフを使いながらCMACの3個小隊を指導致しております。ここでの活動はCBD(Community Based Demining)といって「住民参加型」の地雷処理が特徴です。地雷処理員として地域住民を採用し彼らに雇用機会を提供し貧困からの脱却を支援すると共に自分たちの村を自分たちの手で安全化し自力復興する気概を醸成するのがその狙いです。また、ここでは地雷処理のみならず処理後の地域開発として井戸掘り、道路建設、学校建設等を日本の支援者の資金援助(寄付金)或いは他のNGOの協力を得ながら推進致しております。 人力による地雷処理に加えて昨年7月からバッタンバン州の別の地域で機械処理と地域開発を抱き合わせた事業を開始いたしました。上記の二つの事業は大部分政府の「民間連携無償資金」によるものですが、この事業は「小松製作所」の全面的な資金援助、技術援助と地雷処理機の提供を頂いて実施しております。人力処理に比し処理速度が数倍に上がり大きな成果を収めつつあります。 次期事業(今年)では人力による地雷処理及び機械力による地雷処理と地域開発を一体化した新構想を描いており、現在その実現に向け様々な調整を実施中です。 以上現在の事業活動の概要を報告させて頂きました。 話は変わりますが、小生の任期も後継者の問題が絡み残り少なくなりそうです。要請があれば何時でも交代の心積もりです。カンボジアが終われば、また皆さんと一緒に飲める機会が増えますので、それを楽しみに残された期間を精一杯努めたいと思っています。 本年もどうぞ宜しく御願い致します。 PNP 山本 忠文拝 |
日本地雷処理を支援する会(JMAS)カンボジア統括代表 Tadafumi Yamamoto The representaive of JMAS Cambodia E-mail:yamamototadafumi@jmas-ngo.jp |
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