ブラックアウト(Blackout)について

1. まえおき


 ブラックアウトとは広義には、「停電、灯火管制」、「一時的な記憶喪失」、「演劇における場面の暗転」、「報道管制、放送中止」があります。その中で、防災面の視点から大規模停電(ブラックアウト)について北海道で起こった事例を紹介します。

2.北海道のブラックアウトの概要

(1) 2018年9月6日午前3時半頃、北海道胆振地方で起きた最大震度7の地震により厚真火力発電所が発電停止した。
(2) 地震発生から2時間半が経った午前6時、道内全域の約295万戸が停電した。

3.ブラックアウトが起きた原因

 苫東厚真発電所は石炭火力発電所3機合計で定格出力165万kW、道内最大規模を誇る。地震発生前、道内需要が310万kWの約半分を苫東厚真が賄っていた。
原因は北海道電力苫東火力発電所の発電供給量の一極集中にあると言われています。

4.ブラックアウトに至るメカニズムの概要

(1) 電気は貯める事は出来ない。常に需要(電力使用量)と供給(発電量)を一致させておく必要がある。
(2) 今回のように、需要は変わらないのに供給が減ると過負荷の状態になり、周波数が低下する。現在周波数は50ヘルツであるが、それ以下に低下する。
(3) 周波数が低下すると各変電所に設置してある周波数低下防止装置が、一定値(50ヘルツ)以下になったことを検知すると停電が他の地域に広がらない様に系統(発電した電気を需要家に届けるまでの一連の電力設備システム)を遮断する。
発電所も周波数が低下すると系統から自らを切り離す(解列)。
(4) 地震発生が深夜で電力需要が日中より小さく、他の発電機の稼働が少なかったことも苫東火力発電所の脱落の影響度を大きくした。通常であれば他の発電機が周波数の低下を検知し出力を上げるなどの動きをするが、今回は苫東厚真の脱落分を回復させる手立てがなかった。原発は運転を休止中
(5) こうして周波数の低下は徐々に道内に広がり系統を遮断しても需給のバランスはとれず、ドミノ倒しのように停電エリアが広がり、同時に発電所も連鎖的に停止し、北海道はブラックアウトした。

5.むすび

 我々の日常生活において、電気は空気のような存在であって当たり前になっており、ブラックアウトのような長時間の停電が続くと、日常生活はパニック状態になります。
食料品・飲み水の備蓄、カセットコンロ、懐中電灯、ラジオの準備、携帯電話、スマホの活用、PCの電源の確保等多々ありますが、工夫を凝らし生き残ることが大切です。

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ブラックアウトについて

宮本征洋  2区隊 通信科