園長先生のお話(その1)
「園長先生、ごはんのじゅんびができました」
退官に当たり、「最初の船に乗る」ことが幸いしてか、今なお現役の保育園園長として勤務することができ、毎日楽しく充実した人生をおくれていることを「天」に感謝しています。 途中紆余曲折ありましたが、福祉の世界に入ってから15年が過ぎようとしています。 現在、都内で設立間もない2つの私立認可保育園(本園・分園)の園長をしています。 保育園の定員は0〜5歳児合わせて160名、保育士等職員は約50名です。 園長の本来の仕事は、「子どもたちの健全な育成及び保育園の安定的経営」を図ることですが、保育園では行政機関、児童相談所等、保護者、園児、職員等との関係で、園長として対応しなければならない事柄が毎日発生します。 保育園は幼稚園(文部科学省管轄の学校)と違って厚生労働省管轄の福祉施設で基本的に祝祭日及び年末年始の6日間以外は開園しています。 最近の社会情勢を反映して延長保育を含め土曜日でも「13時間(0715〜2015)」は開園しています。 園長の勤務時間については、朝の出勤時間はまちまちですが、夜については不審者対応も兼ねて防犯用『さすまた』をそばに置き遅番保育士と共に最後まで居ることにしています。 通勤時間(マイカー通勤・片道1時間)を入れると、毎日10時間はこの仕事に携わっています。 さて、今回は日常の保育活動の中で最も楽しい「食事」について話してみます。 皆さんも、すでに遠い過去になってしまったかもしれませんが「お孫」さんと楽しい食事をした経験があると思います。 私は、毎日、昼と夕の2食を子どもたちと一緒に保育園で喫食しています。 昼食は「幼児クラス(3・4・5歳児)」と、夕食は延長保育利用者の「乳児クラス(0・1・2歳児)」と共に喫食しています。 食事時になると、子どもたち(当番)が事務所のドアをノックして「園長先生、ごはんのじゅんびができました。○○室に来てください。」と迎えに来てくれます。 この動作がめちゃめちゃに可愛くていつも癒されています。 子どもたちに案内されて行きますがどの部屋でもいつも大歓迎されてテーブルに着きます。 乳児の場合は保育士が、幼児の場合は当番の子どもたちが前に出て「お父さん、お母さん、いただきます」と手を合わせて大きな声で発声し、それから食事が始まります。 食事中いつも感じることですが、子どもたちは、園長を園長としてではなく、大人の「お友だち」ぐらいに受けとめているのか次から次へとめちゃくちゃに話しかけてくれます。 怪獣の話、家での出来事・・・など本当に賑やかです。 食事は楽しい反面、園長として常に気をつけねばならない事は「食物アレルギー児」への対応です。 自分が子どもの頃食物アレルギーなるものがあったかどうか定かではないというか、その日の食べ物をどうしようかと毎日が必至であった記憶しかありません。 昨今は、「卵」「牛乳」「マヨネーズ」「大豆」などなど口にしてしまうとアレルギー表情が出てしまう子が1割近く在園しています。 食材の成分確認から始まり、子どもたちが食べるまでの過程を要所要所で安全確認をしながら食事を提供しているのが現実です。 下手をすると「死」に至らしめてしまいますので。 保育園は、楽しさと危険が表裏一体に存在している施設だと認識しながら毎日勤務しています。 次回は、感動して「男泣き」したことを話したいと思います。
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