何故筑波山が百名山なのか?

宮本 征洋  2区隊 通信科


1. まえおき

 先般私の二男家族と車で筑波山神社に向かい、昼食を近くの食堂で済ませ、ケーブルカーで約15分で山頂に到着。
コロナウイルス感染拡大の影響も減少して外出制限が解除された上、休日でもあり、日本人の他外国人観光客も多く賑わいを見せていた。好天に恵まれ、山頂から見渡す関東平野の眺望は素晴らしかった。

 この機会に、なぜ海抜876mと1,000mに満たない山の「筑波山」を山岳登山作家深田久弥氏は日本百名山に選定されたのか?その理由を調べてみた。

      
                 筑波山晩秋 (山根峯治氏 撮影)

2.「深田久弥」氏の百名山選定基準について
 第1は山の品格にある
  誰が見ても立派な山だと感嘆するもでなければならない。高さは合格しても凡常の山は採らない。厳しさか強さや美しさか、何か人を打ってくるもので、人にも人品の高下があるように、山にも人格ならぬ山格がある。
 第2には山の歴史を尊重する
  昔から人間と深いかかわりを持っている山、人々が朝夕仰いで敬い、その頂きに祠(ほこら)を祀(まつる)る山は自ずから名山の資格を持つ。ただ近年の異常な観光の発達は古い言われのある名門の山を通俗化してもはや山霊も住む所がなくなっている。そう言う山は選ばない。
 第3は個性のある山である
  個性顕著なものが注目されるのは芸術作品と同様で、その形態であれ現象であれ、ないしは伝統であれ他に無く、その山だけが具えている独自のもの、それを尊重する。
 付加条件として
  おおよそ1,500m以上という線を引いた。山高きをもって尊しとせずだが、ある程度の高さがなくては私の指す山のカテゴリーに入らない。
  例えば越後の弥彦山など昔から聞こえた名山に違いないが、あまりにも背が低すぎる。例外はある。筑波山と開聞岳である。何故それを選んだかは山頂に書いてある。

3.筑波山を百名山に推す理由
 高さ1,000mにも満たない山ではあるが、この山を推す理由の第一はその歴史の古いことである。
昔、御租(みおや)の神が所々の神の許(もと)を廻った際、日が暮れて富士山に着いた。宿を求めると富士の神は物忌(ものいみ)(ある期間、飲食行為を慎み身体を浄め不浄を避けること)の故をもって断った。
 御租の神は大変怒って「今後お前のいる山は夏冬問わず雪や霜に閉じ込めてやるぞ」と言い残してて、東の方に行くと筑波山があった。そこの神はあたたかく迎え、食事の用意をされ歓待した。
 御租の神は大変喜び、今後人々が集い登り飲食の物を豊かに捧げるであろう云々とことほいだ(言葉で祝う)。

 筑波山の山頂は二つの峰に分かれ東峰は女体山として、イザナミの命(みこと)を西峰を男体山としてイザナギの命を祀った。また、山頂には東の筑波、西の富士の標示があり、飛鳥時代に作られた常陸風土記にも記されている。

4.むすび
 最近はつくばエクスプレスで東京からの交通の便が良く、つくば駅から筑波山シャトルバスやつくばセンターバスの交通の便があり、つくば神社からはケーブルカーが、つつじが丘からはロープウェイが山頂まで運んでくれ、益々登頂が容易です。
ただ、今後益々大衆化が進み山の持つ威厳さ、神々しさが失われつつあるようにも思われ、一抹の不安を感じた次第です。

 会員コーナーへ  トップページへ