山 本  忠 文
 1  区  隊
 職種:通信科

平成19年7月以降JMAS特定非営利活動法人日本地雷処理を支援する会)カンボジア現地代表としてプノンペンに赴任した山本君からの報告です。

第7回 近況報告  (平成20年6月30日)

 不惑会会員諸兄

 先日は不惑会で多くの同期生と再会でき楽しい時間を過ごさせてもらいました。18日に帰任し多忙な毎日ですが、元気一杯にやっておりますので他事ながらご休心下さい。

 カンボジアは今、5年に一度の総選挙を1ヵ月後に控え選挙運動が始まりました。選挙運動は日本とはかなり様相が異なります。日本のように宣伝カーでボリューム一杯に候補者の名前を連呼するのは全く見かけません。これは比例代表制のように党名投票し候補者名を書かないからかもしれません。

 国旗並びに党の旗を4周に立てた宣伝カーが余り大きくない声量で党名を流し乍ら街中を走り回っております。後ろに数台、時には10台以上の宣伝カー、バイクが同じく旗を掲げこれに続きます。選挙運動員は中々良いアルバイトのようです。1日当たり約1万リエル($2.5)〜2万リエルの手当てが支給されるとの事で、この国の収入レベル(平均$50から$60/月)から考えると良い稼ぎとなります。我々と協同して活動しているCMACの隊員も奥さんに「貴方も休みの日は選挙運動のアルバイトをしたら?」にはっぱをかけられて居るそうです。

 選挙に関連して現金、品物が当たり前のようにばら撒かれ、先日は選挙権の無い日本人専門家にもある品が配られたとか...。日本では公職選挙法違反で直ちに逮捕されますが国が変われば斯くも変わります。

 また、我々の活動関連では選挙当日までの約1ヶ月間は不発弾、地雷等の爆破が禁止となっています。これは選挙絡みでテロ等により爆発物が仕掛けられたりする恐れがあり、その情報識別を容易にする為のようです。爆破禁止の場合は、一般的には不発弾等の回収も中止しますが村民等から緊急の要請がこれを回収するか、危険標識等必要な処置を講じます。回収した物は基本的には爆破処理できませんので軍の演習場等に一時保管し爆破が解除になった時点で処理をするようになります。

第8回  日々是好日
 (平成20年8月22日)

 暫くご無沙汰致しておりますが、諸兄にはお変わり御座いませんか? カンボジアは現在雨季の真っ只中で、略毎日午後2時〜3時頃に強烈なスコールに見舞われます。その後は湿度が下がり、地熱が奪われ非常に涼しい時間が訪れます。そんな訳で今は東京よりカンボジアの方が凌ぎ易いのでは?と思われます。

 カンボジアでは728日に5年に1度の総選挙が行われました。結果は日本でも報道されたと思いますが、フンセン首相の与党人民党が圧勝致しました。選挙後にフンシンペック党、サムリャンシー党、人権党等の野党が選挙の実施要領、票の集計等に不正があったと抗議しており未だに決着を見ておりません。

 また、
77日にアンコールワットより古い遺跡であるプレアヴィヒア寺院が世界遺産に登録されました。この寺院はアンコールワットの北東約170kmのタイとの国境に位置しており、従来は「国境未確定地域」でしたが現在はカンボジアに帰属しております。然しながら世界遺産登録を機に再びタイとの間に摩擦が起きており、現在両国共に約1,000人規模の軍隊を同地区に派遣して対峙しております。両国の代表がバンコックやプノンペンで数次に亘り会合を持ち話し合いをしておりますが現時点事態の拡大を避ける点では合意致しておりますが根本的な解決策は見出せないままです。この様な情勢下でJMASの諸活動も治安の悪化を視野に入れ情報収集と緊急時の対応を考慮に入れながら実施致しておるところです。

 閑題として、これまでのカンボジアの体験でこれは「日本と違うぞ!」と感じた点を幾つかご紹介したいと思います。
バナナを剥く時に我々日本人は根元の方から剥きますがこちらでは先のほうから剥きます。100%の確率でこの剥き方です。理由を聞いてみますと彼らにとっては先からのほうが剥き易いとの事です、又、先のほうが甘くて美味しいのでそちらから食べ易いのも理由のようです。日本人も略100%根元から剥く事を考えますと、誰が決めた訳でもないのに見事にやり方が異なっているのは驚きですし、人間は他人のやり方を見習いながら行動する動物であると云うことが良く理解できる一例ですね。
 包丁の使い方も、日本では果物を剥く時などは刃の部分を自分の方に向けて剥きますが、こちらでは刃を外側に向け押しながら剥きます。安全上はこの方が合理的で、カンボジア人にとっては何故日本人は危ないやり方をするのか理解に苦しむと言います。

 毎日、事務所の周りでウォーキングをしておりますと色々な光景を目にします。その中で「これも違うぞ!」というのが葬式での着物即ち喪服の色です。日本では黒が喪色ですが、こちらの喪服は男女共に白です。暑い国ですから黒は太陽光線を吸収し易く、見た目にも暑苦しいことを考えるとこれも合理的であります。又、白色は純潔で穢れが無いので弔意を表すのに最適かも知れません。葬式の際よく見かけるのが白い布で出来た烏賊の様な、凧のような形をした吹流しです。先が三角形でその下が丸、四角形と続きその下に2本の足の様なものが付いております。これは小生の推測ですが死後魂が天に昇ってゆく様子を表しているのでは?と思っています。又、葬式は日本では悲しみを表す為物静かに執り行われますが、こちらでは結構賑やかで、スピーカーを使いしかも大音量で音楽を流したり、故人の功績を読み上げたり致します。読経の声がその合間に聞こえてきます。カンボジアの儀式は大体自宅及びその前に立てられたテントの中で行われます。テントの大きさは自衛隊の病院天幕程度で基本的には屋根のみでサイド、軒下部分に飾りを付けます。これで100人程度の収容能力があり、食事の準備がその横で行われます。日本のケータリングと良く似たやり方です。
 
結婚式はもっと賑やかで夜の10時頃まで、しかも2〜3日も続きます。カンボジアでは騒音防止条例は無いようですが近所でやられると大迷惑ですが、現地人は誰も文句を言いません。

 まだまだ、この様な話題が御座いますが仕事中に書いておりますので今日はこの辺で止めておきます。
 
10月頃には一時帰国したいと思ってます。


   日本地雷処理を支援する会(JMAS)カンボジア統括代表
    Tadafumi Yamamoto
    The representaive of JMAS Cambodia
    E-mail:yamamototadafumi@jmas-ngo.jp

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