アルメニア共和国は人口約310万人で、国民の98%がアルメニア人で、国土は日本の約13分の1。宗教は大部分がアルメニア正教徒で、経済は農業やダイアモンド等の鉱工業が主で、ワインとブランデーが有名。ハチャトリアンやアズナブール等の芸術家を輩出しており、何よりも「世界一の美女国」という大変魅力的な国である。
1世紀頃トルコのカッパドキアから移って来たキリスト教徒がこの地で信仰を広め、301年、世界で初めてキリスト教を国教とした国だ。
 アルメニアは第1次世界大戦中の1915年、オスマントルコにより、当時の人口の3分の1にあたる150万人を虐殺され、また多くの難民が世界に避難していった悲しい歴史を背負っている。

国境からパフパット修道院へ
 グルジアから小コーカサス山脈の国境を経て、アルメニアに入った。小規模な軍隊の駐屯地が見えたが、この国では男子が1年間の徴兵訓練を受けるそうだ。
山また山の道をひたすらエレバンに向かったが、途中、パフパット修道院に寄る。
この修道院は10世紀頃に建てられ、アルメニアにキリスト教を伝えた聖グリゴールを祭っている。
アルメニアの教会の特徴である大きな十字架が祭られており、建設後には多難な歴史を経たが、現在も人々の信仰の拠り所となっている。
 珍しくアメリカ人の旅行グループに出会ったが、アルメニア系アメリカ人の帰郷旅行かも知れない。


鉱山の町近くで昼食
 途中、昼食のためレストランに入った。
メインはアルメニアで1番美味しいと評判の「焼いた豚肉」で、同行の皆がおいしかったと言っていたが、私は曲がりくねった道で珍しく車酔いしたので、残念ながら食欲が出なかった。
この近くには銅とモリブデンを産出する鉱山があった。


セヴァン湖と湖畔の教会
 セヴァン湖畔(1900m)の教会に寄ることになったが、夕暮れが迫り、しかも小雨気味の曇り空。
セヴァン湖では「ます」などの魚もよく獲れるそうだ。
湖に近づくにつれ、奇跡的に天気が回復し、夕日に輝く教会を見ることができた。


首都エレバンに到着
 エレバンに到着し、「ホテルメトロポール」に宿泊。エレバンからアララト山を見るのを楽しみにしている。
ホテルの正面に「ARARAT」のサインが見える。
チャーチルが愛したと言われる最高級コニャック「ARARAT」が製造されている。


アララト山とホルビラット修道院
 アララト山(5165m)は、旧約聖書でノアの方舟が流れ着いた山とされているが、1915年以来、トルコ領になっている。
このホルビラット修道院からトルコの国境とイランの国境はすぐそこにある。(この日は雨気味だったのでイメージ写真でどうぞ)
 アルメニアの人達はいつの日かアララト山がアルメニアに帰ってくることを望んでいる。


 このホルビラット修道院には聖グリゴールが布教活動をしてアルメニア国王に閉じ込められた牢獄がある。
その後、国王は聖グリコールを認め、世界で最初に国教にしたという歴史がある。
教会の中には聖母の絵が飾られており、外に出ると、髭おやじが座っていた。
このおやじさん、事は美空ひばりのファンだというからビックリ。


エチミアジン大聖堂でのミサ
 エチミアジン大聖堂はアルメニア正教の大本山で、ちょうど日曜日の朝のミサを見ることができた。
敬虔な信者達が参拝しており、神父の言葉に続き、聖歌隊の美しい歌声を聴くことができた。


リプシメ教会でのミサ
 次いでリプシメ教会でも日曜ミサを見学することができた。
この教会はアルメニア教会のモデルになった教会だそうで、外に出ると地元の若い人達がいたので写真を撮らせてもらった。


昼食は「ます料理」
 昼食は緑豊かなレストランで、セヴァン湖で獲れた立派な「鱒のかば焼き」をいただいたが美味しかったですね。


ゲカルト修道院
 午後は修道士さんが岩山をくり抜いて造ったゲガルド修道院を訪問。
キリストの脇腹を突いた槍の一部が発見されたのでゲガルド(槍)と名づけられたそうだ。


エレヴァンの町へ
 教会詣でを終えてエレヴァンに戻り、町の中央にカスケードというモダンアートとエスカレータを組み合わせたソ連時代のダサい施設を観光した。
クリスタルガラスのシャンデリアのようなものしか評価に値するものは無いのかなと変に納得していたところ、最後に素晴らしい芸術に出会った。
やはり、アルメニアは世界一の美人国だった。


夕食はアルメニア料理
 メインディッシュは「ロールキャベツ」と「ロールブドウの葉」、そして何より「アララトコニャック」を楽しんだ。
最高の盛り上がりだったが、残念ながら写真を取り損なった。
食後、中央広場に行くと、世界の音楽にあわせた噴水ショーが行われており、偶然居合わせたガイドさんの姉さんの家族と楽しく語りあった。


 アルメニアは貧しい国と言われているが、他民族による度重なる征服、大虐殺、宗教の弾圧を乗り越えて、人々は信仰心が篤く、農業国の特長を活かして葡萄をはじめとする果物や野菜が豊富で、心豊かな国だと感じた旅であった。


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