2日目
九州は本格的な梅雨に入ってしまって、4時に起きて国見が丘で日の出を見るイベントが中止になった。
ガイドさんが「お天気なら高千穂を見渡せるのだけど・・・残念」と盛んに弁解していたが、私は、ジャカランダの満開の季節を選んだのだから、雨のお蔭でゆっくりできると内心ほっとしていた。
国見が丘
天孫降臨というのは、ニニギノミコトが、天照大神の命を受けて葦原の中つ国を治めるために高天原から日向国の高千穂峰の国見が丘へ天降ったことを言うそうです。
国見が丘のすぐ近くに「鬼八塚(きはちづか)」があります。
神武天皇の兄、ミケヌノミコトは、悪党の鬼八を退治したが、鬼八が生き返って暴威をふるったので、ミコトは鬼八の体を三つに切って三箇所にわけて埋めました。鬼八塚は首を埋めた場所だそうです。
ところで、高千穂交通のガイド氏は、雨で良い所を見せられなかったので、お詫びに「夜神楽せり唄」と「刈り干し切り唄」を聞かせてくれました。バスの最後部で聴き、ちょっと聞こえにくかったけれど、素晴らしい歌でした。
荒立(あらたて)神社
天の岩戸の前で舞っていたアメノウズメノミコトと天孫降臨の時に道案内をした猿田彦が結婚して、荒立神社のご祭神になっている。
最近では、芸能の神社として人気があり、北島三郎ファミリーや坂東玉三郎もお参りしたそうです。
高千穂神社
昨夜「夜神楽」を見たのがこの高千穂神社の神楽殿でした。
ここも、立派な杉の木が「パワースポット」の雰囲気を漂わせていた。
「パワースポット」巡りの人達はこのような御朱印帳に記帳してもらっていました。
桃源郷岬
大型バスが山道をハミ出しそうになりながらくねくねと走って、桃源郷岬に到着。
ここは東京ドームの4倍ほどの広さの花園で、200万本のアジサイやジャカランダやブーゲンビリアやモミジ等が植えられている。
なんとこの花園が個人の庭だそうで、約20年前に当時、不法投棄のゴミだらけだった20万平方メートルの土地を買い取り、整備して今のような花園に作りあげたそうです。
青い作業服を着て案内してくれたのがオーナーさんのようで、「南郷のジャカランダは700本だが、桃源郷岬では来年には1000本のジャカランダをお見せできる。」と元気いっぱいであった。
太平洋に面した海岸
桃源郷岬から太平洋に面した海岸に到着した。
大雨で煙った「クルスの海」(波の浸食で島が十字架に見える)を見た後、「フローランテ宮崎」という花一杯の公園のような所を訪問した。
倒産した「シーガイア」の近くにあったので「倒産したゴルフ場の跡地ですか?」と質問すると「県営住宅を移設した跡地です。」との回答だった。
すごく美しい庭園だけれど、これだけの広大な施設を維持するのは大変だろうなと余計な心配をした。
西米良村
海に面したレストランで昼食を済ませ、一ツ瀬川沿いに約2時間、バスは、まあまあ立派な道路をくねくねと登って行く。
「Youは何しに九州へ?」の言葉が脳裏に浮かんでくる。
「秘境温泉を巡るツアーに来てしまったのか?」と自問していると、ようやくバスは西米良村に到着した。
もう少し走ると九州山地の峠を越えて熊本県の人吉地方に出る。
この村の96%は山林だそうで、緑の山の中を大雨で増水した一ツ瀬川が流れていた。
今日の宿泊は「カリコボーズ」の宿で、「カリコボーズ」とは河童の子のことを言うらしい。
宿泊はコテージ方式で、夏にはキャンプ場や林間学校として利用される。
「西米良温泉ゆた〜と」に入って驚いた。まろやかな泉質で、豊かな緑を眺めながら露天風呂の入浴は最高だった。
夕食は創意溢れた「山の幸」や、鱒とイワナを掛け合わせた「西米良サーモン」をアレンジした「世界遺産にふさわしい和食」だった。
夕食後、大雨注意報の中、無理じゃないかな?と思いながら「ホタル」を見に行ったが、ホタルもよく心得ていて、しっかり飛び回ってサービスしてくれた。
そして、朝、「ウグイス」がきれいな声でモーニングコールをしてくれ、宿のマスターの熱意が小鳥たちにまで徹底されていると感心した。
(つづく)
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