楽農夫の独り言 A
もうすぐ脱皮の季節 ― グータラ農夫から楽農夫へ 3月の声を聞いても釧路はまだ冬真っ盛りであるが、グータラ農夫(前年11月末ごろの畑仕舞いから)の心中は楽農夫への脱皮が始まる。 パソコンでは「作付計画」の最終チェック、本年度作付用種・苗探し、肥料・農資材の買い付け計画などの楽しみが始まるのである。 「作付計画」は最も重要な作業で、連作を嫌うナス科(ジャガイモ、ナス、ピーマンなど)や豆類は5年間同じ場所で植えないようにしている。 基本的にはすべての作物の植えつけ場所を変えることにしている。 冬を越して栽培するニンニク、イチゴもあるので、5年前からの作付図とにらめっこしながらの作業はボケ防止にも良い。 これが出来上がるとホームセンター通いが始まり、近隣で入手できるものを確認し、入手できないものはインターネットでの購入となる。私は毎年新しい作物を2〜3種類作ることにしているので、インターネットは畑のためにも必須なのである。 栽培する作物は当地で露地栽培ができるものに限る。 ビニールハウスは絶対に使わない!自然の中で育つことが譲れない条件なのである。 近所の農家の方や知人がハウスを使えば多くの品種を栽培できると勧めてくれるが、「露地栽培」を頑固に守っている。 地温を上げるために防風網で畑を囲い(鹿よけも兼ねている)、堆肥を多用し、マルチを常用するなどの工夫はしているが、自然の風・雨・太陽を妨げることはしないのが楽農夫流。 その結果は収穫野菜の味に敏感に反映されるから面白い。 おそらく栄養面でも相当の開きがあるのだろう。 釧路以外の知人から毎年収穫物を所望されるのはうれしいことです。 販売すれば―の声もあるが、楽農夫は差し上げても販売はしない!(ところがこのお返しに魚などをいただけるので、魚を買うことは滅多にないのです。) (ルバーブの発芽) そして4月中旬、残雪と凍結した地面を割ってルバーブが真っ赤な芽を出すのが春一番。 毎年のことながら感動の季節の始まりです! 畑の外ではフキノトウ、水辺にはクレソンが出始め、福寿草が花をつけ始めます。 畑ではチャイブ(ネギの原種?)、山わさび(ホースラデッシュ)が芽を出し、畑にグリーンが目につくようになります。 炊き立てごはんに山わさびとチャイブの“精進かゆ”は絶品!! 冬期のうつうつした心のアクを消し去ってくれる味なのです。 この時期は北国で最も感動的な季節と言えます。 4月下旬、畑の土が乾くと耕運機の出番。米ぬか・鶏糞主体の春の肥料を漉き込み、15m畝がフカフカベッドに変身、いつでも種まき・苗植えつけの態勢になります。 早い時期の種まきはラデッシュ、葉大根、レタスなど寒さに強い作物。5月下旬までは降霜の恐れがあるため、天気予報は大事です。 (オオハナノエンレイソウ) 本格的な植えつけはカッコウの声を聞く6月初旬から。 山には山菜が次々に出てきて、山菜テンプラを何度も楽しめる至福の季節! かくして年末まで我が家のエンゲル係数は急激に低下することになります。 6月初旬から付近の山々はミシミシと音が聞こえるぐらい木々の芽が吹き出し、畑往復のドライブは心躍る時間になります。 もちろん我山の木々も一斉に緑の滴をつけ始め、池ではエゾアカガエルの大合唱の毎日!半年間、死んだように静まり返っていた自然がにわかに賑やかになる…これが北国の春なのです。 楽農夫・婦にとっては最も忙しい時期。 種まきも苗の植え付けも6月初旬の短い期間を逃すと収穫できるまで成長を期待できないからです。 畑の一角の花コーナーも水仙をはじめ次々に彩られます。 時間をおいて咲いてくれればいいのですが、北の花は一斉です。 山にもオオバナノエンレイソウ、エゾエンゴサクなど自然の花が賑わい始め、エゾ山桜やコブシの開花を待ち望む季節でもあります。 5月と6月は身もこころも踊る感動・感激の季節なのです。 グータラ農夫の4か月(12月〜3月)は何しているかって? 旅の季節になるのです。 4月〜11月はほとんど自給自足状態ですから余裕の出た分はグータラ期の旅費になるわけ。 これまで海外(アジア)、沖縄、奄美大島、鹿児島など南の太陽を求めての旅、楽農夫婦の実家や高校・大学の同級生達の多く住む東京にも毎年滞在して旧交を温める大事な時間になります。 農園で8か月働き(遊び?)、4か月は南に旅する――ありがたい第二の人生!! 畑遊びの日々と時折頭にくるニュースへのつぶやきは、ブログ「楽農夫の独り言」(ニフテイのココログ)をご覧ください。 http://rakunoufu.cocolog-nifty.com/ お叱り等はEメール uik15245@nifty,com へどうぞ 次へ続く・・・かな??
|
1区隊
北辺の農夫 川尻隆夫