楽農夫の独り言 B

 
 畑で『五体投地』・・・間引きと除草
5月下旬から6月上旬の植え付けを終えると、間引きと除草の時期を迎えます。
貧乏性のせいか間引きはいつも“もったいない”と“申し訳ない”の心境を味わいます。
多めに種を蒔いたり、苗を植え付けたりするのは最大の収穫を思ってのことで、農業には珍しくないことですが、その結果としての間引きはつらいものです。
“もったいない”への対策は間引き菜を精一杯食してやることであったり、畑の隅に植え替えてやったりして心を静める方策はありますが、間引いて捨てざるをえないときが問題です。
明確に成長に差があったり、芽だしの場所が悪いときは案外悩まずに間引きできますが、どちらを選んでも良いとき、しばし手を止めて心の痛みと葛藤することに ― 人事で悩んだ現役時代を思い起こし、また志半ばで彼岸に渡った仲間を思うのもこのときです。
「ああ、あのときは本当にあの判断で良かったのだろうか?間違えていなかったか?」 そんなことをフト思い、間引きの手が止まるのです。まさに反省のひと時・・・・そして戦場で部下を死地に投ぜざるを得なかった先達の苦しみを思い、追体験の心の痛みを覚えるのもこのときです。
                           
                              「アイヌネギの群生」

 間引き後は雑草との戦い! 
除草剤を使わない楽農夫にとって雑草対策は最も工夫を要し、大汗かく作業になります。
畝間の通路を防草シートで被い、畝は保温も兼ねた黒マルチを多用するのも雑草対策。
畝を完全に覆わないで肩の部分だけにマルチングする「肩マルチ」も良くやります。
こうすることで雑草を抑え、除草作業の軽減を図っていますが、雑草はその隙間にしっかり生えるのです。
夏の暑い時期が雑草の盛期。手足の弱ってきた楽農夫は「風呂フタ」を敷いて寝転んで(これを「五体投地」と言っています)除草作業をしています。 
遠くからでも飛んできて、深く根を張り、恐るべき増殖力の西洋タンポポは畑の最大の敵! 雑草には悪気はないと思いながら、その命を奪うことにちょっと心が痛みます。
で〜タンポポ以外は1年後に堆肥として畑に戻るようにしています。
雑草の間にいる虫やミミズとの出会いは悲喜こもごも。
カエルやミミズ、ケラには声をかけ、傷つけないように移転し、青虫類は肥料になってもらう。
・・・・いずれにしても雑草や虫達の命を奪う行為が除草作業。
仏教徒でもある楽農夫が在家5戒の第一「不殺生戒」に思いを致す厳粛な場でもあるのです。
「五体投地」(仏教で厳粛な礼)はせめてもの償いの姿勢かなと自分に言い聞かせているのですが・・・ 

 除草された雑草と収穫後の野菜残渣は
1.8m×1.8mの堆肥囲いに、米ぬか・鶏糞と交互に積み込み、覆いをかけて冬を越し、1年後に1トンを超える高級堆肥になって畑に戻ります。
この堆肥場には冬の間蛇が住み着き(暖かいからでしょう)、ミミズが大量に発生します。
厳寒の冬を生き延びた蛇には敬意を表して静かに去ってもらい、ミミズの大群には畑で活躍してもらいます。
畑で育った物は食するか、畑に戻るかなのです。 
自製堆肥で忘れてはならないものは山の木の葉で、池に沈んだ大量の木の葉は大事な堆肥材料です。
農作業の合間、池底からの葉っぱ集めは水中生物や水との語らいの時でもあり、心豊かになるひと時でもあります。
(何回か魚を入れてみましたが、鳥に食されるのか消えてしまいます) 

 約4か月凍結する畑で、楽しみながら露地栽培の野菜・果物を得られる北辺の農地に、『五体投地』は“似つかわしい礼”ではないかと思っています。
                           

 4月〜11月はほとんど自給自足状態ですから余裕の出た分はグータラ期の旅費になるわけ。
これまで海外(アジア)、沖縄、奄美大島、鹿児島など南の太陽を求めての旅、楽農夫婦の実家や高校・大学の同級生達の多く住む東京にも毎年滞在して旧交を温める大事な時間になります。
農園で8か月働き(遊び?)、4か月は南に旅する――ありがたい第二の人生!!

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次へ続く・・・かな??


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北辺の農夫 川尻隆夫